独立行政法人国立病院機構 刀根山病院

文字サイズ 小 中 大

患者様へ

整形外科・リウマチ科 - 足部疾患

足の外科とは

足部・足関節のトラブルはまれではありませんが、治療を受けていてもなかなか治らない足の症状や、手術が必要になるもの、専門的知識が必要な特殊な疾患もあります。歩行に直接的な影響がある上にわが国では靴を脱いで生活することも多く、審美的にも非常に重要な分野です。またスポーツはもちろん正座をするためには膝関節・股関節だけでなく足部・足関節も大きくかかわっていますが整形外科分野の中でも比較的専門医の少ない分野です。それゆえ足部・足関節の障害が起こっていてもどこの病院へ行ったらいいのかわからず困っている患者様も少なからず存在するのではないかと思われます。主に当科が治療を行っているのは、関節リウマチに伴う足部変形、関節炎ですが、その他外反母趾、強剛母指、変形性足関節症なども手術を含めた治療を行っております。それらの疾患について症状および診断と治療について以下に説明します。

トップへ

当院での足の外科治療の特長

  1. リウマチに伴う足部・足関節周辺の治療を主に行なっています。
  2. リウマチ投薬治療の向上とともに、手術についても新しい試みがなされておりますが、そのような治療を積極的に取り入れております。
  3. リウマチ疾患以外の足部から足関節についてのお困りのこと、 装具や手術療法に関することなど幅広くご相談に対応いたします。

トップへ

足の疾患の概要

外反母趾

母趾が外側に曲がってしまう疾患です。足部疾患の中で最も多い疾患のひとつです。女性に多く、ハイヒールや先の狭い靴などの生活習慣、その他母趾がⅡ趾に比べて長いこと、関節リウマチなどの疾患や遺伝的因子も要因の一つといわれています。

母趾の外反に伴って母趾の付け根(MTP関節)が内側に出っ張り(バニオン)靴に当たって炎症や痛みを生じます。また第二趾や三趾の足底に痛みを伴うタコができることもあります(有痛性胼胝)。進行すると母趾が第二趾に重なったり第二趾の脱臼を起こし、通常の靴が履けなくなるなどの問題が生じることがあります。

レントゲン所見で正確な外反母趾の程度を測定することは、診断・治療の選択に重要です。外反母趾かどうかは、母趾の曲がった角度、すなわち外反母趾角(第一中足骨と基節骨がつくる角度)で決まります。15度以上は外反母趾で20-40度は中等度、40度以上は重症外反母趾です。しかし概ねの角度は外見上母趾の曲がった角度を測定すればわかります。

保存療法と手術療法に分けられます。保存療法は、靴の指導や作成、インソールの作成などの療法を行います。痛みの改善には有効です。変形が軽度の場合は足趾の体操も進行の予防が期待できます。

保存療法を行っても痛みが改善しない場合には骨を切って変形を矯正する手術を行います。変形の程度や合併病変などを考慮して、いくつかの術式を使い分けています。

変形性足関節症・関節リウマチによる足関節炎

変形性足関節症は、足関節の変形性関節症で、関節軟骨の変性とそれに伴う骨や軟部組織の炎症や破壊が起き、痛みや動きの制限を生じる病気です。足部には多くの関節があるため、いろいろな関節で変形性関節症を生じることがあります。膝関節や股関節に比べると頻度は低いとされています。繰り返す捻挫後や足関節の骨折などの外傷後に生じることが多いですが、明らかな原因が無い事もあります。関節リウマチの場合はコントロール不良の場合足関節炎が生じ、関節腫脹疼痛を生じることがあります。徐々に骨・軟骨破壊が進行して骨びらん・関節裂隙が狭小化し、特に歩行時の痛み・可動域制限が生じます。もっとも重要な治療はリウマチの疾患活動性コントロールですが、ある程度関節破壊が進行してしまうと、コントロール良好な場合でも関節の機能を回復させたり痛みを軽快させるのは困難な場合が多いです。

初期症状は歩き始めの痛みや長時間歩いた後の腫れ・痛みが多いですが、徐々に足関節の可動域制限も生じます。

上記の症状や、単純レントゲン撮影で診断が可能です。既往歴外傷歴などの問診も重要です。

保存療法では、インソールの作成や支柱付きのサポーター、などを使用し、症状に応じて消炎鎮痛剤の外用や内服を行います。保存療法で痛みが改善しない場合や、審美的問題で希望される場合は手術療法が選択されます。

手術は、変形・関節破壊の程度や患者様の状況に合わせて、滑膜切除術や人工関節置換術、足関節を固定する手術などを行います。特に関節リウマチでは距骨・踵骨の間の距骨下関節や距骨と舟状骨の関節障害を伴っている場合があり、その部分の固定術などの治療を併用することがあります。

関節リウマチによる前足部変形

関節リウマチによる足趾関節炎が長期にわたると、外反母趾や内反小趾や鷲爪変形や足趾の重なり、偏平足が生じることがあります。それに伴って胼胝・鶏眼形成が生じ、痛みや感染の原因になる事があります。

関節リウマチの診断を受け、上記のような足部の変形がある場合

保存療法と手術療法に分けられます。保存療法は、靴の指導や作成、インソールの作成などの療法を行います。痛みの改善には有効です。

このようなこのような足趾の関節に対して保存療法でも効果不十分の場合、関節形成術を行えば足趾の変形を治すことが可能です。また変形の程度によって術式は異なりますが、以前は主に関節切除術を行っておりましたが、近年ではリウマチのコントロールが可能な患者様が多くなってきており、寛解状態に導く事が出来る例が増えているので、できるだけ関節を温存した中足骨短縮骨切りによる足趾の再建術を積極的に勧めています。

足部・足関節周辺の骨折・外傷

脛骨・腓骨・踵骨・足指骨折など、足部・足関節周辺の骨折、アキレス腱断裂などの外傷にも対応しております。その他上記に記載されていない疾患についても外来にてご相談ください。症例によっては、ネットワークを生かしより適切な医療機関をご紹介させていただきます。

術前術後

トップへ