患者様へ
呼吸器外科
診療の特色
呼吸器外科では肺・縦隔・胸膜・胸壁・横隔膜の外科的疾患を扱っています。年間の手術件数は約250件で、肺癌が100から120件と大半を占めています。気胸、縦隔腫瘍はもとより、肺癌を含むほとんどの手術を内視鏡手術(胸腔鏡下手術)で行っており、痛みが少なく、回復も早いという利点があります。
2013年には肺癌105例中94例に対して胸腔鏡下手術を行いました。最新のハイビジョンシステムを導入しており、難易度の高い悪性肺腫瘍に対しても、鮮明な画像を見ながら、質の高い安全な手術を心がけています。
その他の疾患では、自然気胸が約40件、縦隔腫瘍が約20件、転移性肺腫瘍(大腸癌の肺転移など)が約15件、膿胸や感染性肺疾患がそれぞれ約10件程度となっています。北摂地域における呼吸器外科の基幹病院として近隣の医療施設より多くの患者さんを受け入れています。
当院の特徴として、呼吸器外科医全員が一つのチームとして患者さんの診療に当たるようにしています。個々の担当医はいますが、毎日のガーゼ交換や処置は全員が交代で行い、当然ながら手術も複数の外科医が立ち会います。各外科医がすべての入院患者さんの状態を把握しているように努めています。
主な対象疾患
肺癌の診療方針
肺癌に対しては、呼吸器腫瘍内科・放射線科・麻酔科・病理部と合同カンファレンスを毎週行い、個々の患者様に最適な治療方針を決定しています。早期癌に対しては切除範囲を少なくした縮小手術を行っています。進行癌が疑われる場合には、不必要な手術を極力避けもっとも適切な治療を受けていただくために、縦隔鏡や胸腔鏡検査などにより病理学的根拠に基づいたより正確な進行度診断を行った上で治療方法を決定いたします
手術のみでは治癒が難しいと考えられる進行肺癌に対しては、呼吸器腫瘍内科および放射線科と連携し化学療法と放射線治療、そして手術療法を組み合わせた集学的治療を行っています。術前導入療法(手術前に化学療法や放射線治療を行い、癌を小さくしてから手術する)と術後補助療法(手術後に再発を予防する目的で化学療法を行う)があります。
手術後に再発を認めた患者様に対しては放射線治療や化学療法などを行い、生活の質(Quality of Life)を考えた緩和医療も併せて行っています。原則として手術を担当した医師が受け持ちますが、化学療法サポートチームや緩和ケアチームと合同で治療にあたります。
その他の呼吸器外科疾患の治療方針
若年者の気胸に対しては胸腔鏡を用いて身体に負担の少ない手術を行うとともに、胸膜補強による再発予防の対策を講じています。また可能な限り手術待機日数を短縮し、早期社会復帰に努めています。
縦隔腫瘍には良性と悪性がありますが、良性疾患に対しては胸腔鏡手術を行います。悪性疾患には根治性を重視した手術を行い、集学的治療を行います。また、神経内科と連携して重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術も行っています。
膿胸は現在でも難治性の疾患ですが、当院の専門性を活かし、種々の術式を駆使して根治手術を行っています。
肺結核や非結核性抗酸菌症、肺アスペルギルス症などの難治性の呼吸器感染症に対しては、呼吸器内科とともに適応を十分吟味し、手術を行っています。
転移性肺腫瘍(大腸癌など他臓器の癌が肺に転移したもの)に対しては、切除のメリットを十分に考慮して手術適応を決めています。胸腔鏡手術がほとんどです。
気管支異物(義歯など)の摘出や、腫瘍による気道狭窄に対するレーザー治療やステント挿入も行っています。
スタッフ紹介
院長 奥村 明之進
博士・専門医 | 医学博士・呼吸器外科専門医・呼吸器外科指導医・胸部外科指導医・外科専門医・外科指導医・呼吸器専門医・がん治療認定医・移植認定医 |
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学会 | 日本肺癌学会・日本呼吸器外科学会・日本胸部外科学会・日本外科学会・日本呼吸器内視鏡学会・日本外科系連合学会、日本内視鏡外科学会、日本呼吸器学会、日本臨床外科学会、日本癌治療学会、日本胸腺研究会、日本移植学会、日本医学教育学会 |
副院長 竹内 幸康
博士・専門医 | 医学博士・大阪大学医学部臨床教授・外科専門医・外科指導医・呼吸器外科専門医・がん治療認定医 |
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学会 | 外科学会・臨床外科学会・呼吸器外科学会・胸部外科学会・肺癌学会・内視鏡外科学会 |
医師 川岸 耕太朗
学会 | 日本外科学会、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本胸部外科学会 |
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医師 河中 聡之
学会 |
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医師 小林 晶
学会 |
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医師 大和 寛幸
学会 |
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診療実績
最近9年間の手術内容
疾患名 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | ||||||
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全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | 全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | 全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | |
肺癌 | 125 | 103 | 82% | 119 | 90 | 76% | 117 | 90 | 77% |
転移性肺腫瘍 | 13 | 13 | 100% | 5 | 5 | 100% | 14 | 14 | 100% |
気胸 | 47 | 47 | 100% | 44 | 44 | 100% | 34 | 33 | 97% |
縦隔腫瘍 | 14 | 14 | 100% | 12 | 7 | 58% | 21 | 16 | 76% |
膿胸 | 12 | 10 | 83% | 16 | 10 | 63% | 14 | 9 | 64% |
その他の疾患 | 7 | 5 | 71% | 44 | 11 | 25% | 22 | 9 | 41% |
各種生検等 | 31 | 13 | 42% | 19 | 11 | 58% | 14 | 9 | 64% |
合計 | 249 | 205 | 82% | 259 | 178 | 69% | 236 | 180 | 76% |
疾患名 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | ||||||
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全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | 全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | 全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | |
肺癌 | 103 | 94 | 91% | 105 | 94 | 90% | 129 | 112 | 87% |
転移性肺腫瘍 | 13 | 13 | 100% | 7 | 7 | 100% | 6 | 6 | 100% |
気胸 | 39 | 39 | 100% | 35 | 35 | 100% | 54 | 53 | 98% |
縦隔腫瘍 | 14 | 12 | 86% | 16 | 15 | 94% | 13 | 11 | 85% |
膿胸 | 9 | 7 | 78% | 11 | 9 | 82% | 15 | 5 | 33% |
その他の疾患 | 54 | 41 | 76% | 40 | 25 | 63% | 54 | 25 | 46% |
各種生検等 | 25 | 13 | 52% | 36 | 19 | 53% | 25 | 15 | 60% |
合計 | 257 | 219 | 85% | 254 | 204 | 80% | 296 | 227 | 77% |
疾患名 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | ||||||
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全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | 全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | 全 | 胸腔鏡 | 胸腔鏡% | |
肺癌 | 125 | 106 | 85% | 137 | 112 | 82% | 124 | 108 | 87% |
転移性肺腫瘍 | 10 | 10 | 100% | 9 | 9 | 100% | 5 | 4 | 80% |
気胸 | 51 | 47 | 92% | 32 | 31 | 97% | 39 | 38 | 97% |
縦隔腫瘍 | 19 | 7 | 37% | 13 | 9 | 69% | 11 | 4 | 36% |
膿胸 | 14 | 8 | 57% | 7 | 3 | 43% | 12 | 5 | 42% |
その他の疾患 | 48 | 10 | 21% | 45 | 22 | 49% | 58 | 29 | 50% |
各種生検等 | 11 | 3 | 27% | 10 | 6 | 60% | 13 | 9 | 69% |
合計 | 278 | 191 | 69% | 253 | 192 | 76% | 262 | 197 | 75% |
業績
呼吸器外科 平成24年度 業績
呼吸器外科 平成25年度 業績