患者様へ
脳神経内科
診療の特色
私どもの神経筋難病患者さんに対する基本姿勢は ・神経筋難病の全経過において十分な患者マネージメントを行い、質の高い臨床データを蓄積し、臨床研究を進めることで医療レベルの向上に寄与する。 ・広範囲のすべての神経筋疾患を網羅し(脳血管障害を除く)、特定の疾患に偏らない神経内科診療を広く実践する。 です。さらに、北大阪地域に隣接する地域における神経筋疾患のセンター、大学病院では困難な学生、研修医に対する充実した臨床教育施設としての機能を果たしています。
私どもは日々、発症(診断)から終末期に至るまでに患者さんが抱える諸問題に対し、専門的立場から全人的に関わり、エビデンスと患者さん本位の医療を提供してようと努力しています。従来より神経筋難病の摂食・嚥下障害に対して医師、看護師、言語聴覚士、栄養士がチーム医療として取り組んできましたが、この分野では近隣施設、地域のリーダーとして活動を続けています。
また、より良質な療養環境を拡大する目的で、地域保健・福祉・医療機関とも連絡会議や症例毎に合同カンファレンスを開催するなど密接に連携し、重症になっても地域で生活できるよう支援しています。
在宅人工呼吸療法にも早くから取り組んでおり、現在では250名以上の患者さんが呼吸器を装着して地域で生活されています。各種セミナーや公開講座の開催、地域での研修会や交流会への参加など地域レベル向上に向けた活動にも力を入れています。
パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィー、重症筋無力症、脊髄小脳変性症、スモンなどの神経筋難病の診療や臨床研究を精力的に行い、その成果を学会や厚生労働省研究班で公表しています。このほか、多発性筋炎など種々の筋疾患、GBSやCIDPなどの末梢神経疾患の患者さんの受診も多く、特に末梢神経・筋の生検による病理診断では、近隣施設の依頼も引き受けています。
当院では各分野における専門家が揃っており、神経難病についての臨床研究を行いながら、日常診療に役立てる努力を続けています。
主な対象疾患
診療の実際
外来新患者数は毎年約900名程度、神経難病病棟60床、筋ジストロフィー病棟106床、パーキンソン病専門病棟34床の運営を担当しています。入院のべ人数は年間約1260人で、神経難病700人、筋ジストロフィー370人と、政策医療に重点を置いた診療実績になっています。
完治困難な患者さんに対しては、療養上のアドバイスをするとともに、合併症に対応します。緩徐進行性の疾患も多いため、患者さんやそのご家族が疾患について十分理解できるよう説明すると同時に、臨床心理士との面接など、精神的なバックアップを行うことを重視しています。通院が可能な間は外来で投薬、経過観察を行い、状況により入院の上、気管切開、人工呼吸器の導入などを行います。在宅療養をされる場合には、主治医、病棟看護師、リハビリ担当者、医療ソーシャルワーカーなどスタッフが協力して支援を行います。また、地域往診医の先生方、行政担当者や在宅医療・介護に関わるスタッフなど、さまざまなサービスの提供者との連携についても、合同カンファレンスを開き、親密なコミュニケーションをはかっています。在宅介護が長期に及ぶ場合、レスパイト入院にも応じています。施設介護を希望される場合には、医療ソーシャルワーカーを介して該当する病院または施設に関する情報提供と入所の手助けを行います。
当院のパーキンソン病治療への取り組み
パーキンソン病に対する治療は薬物治療、リハビリテーション、そして一部の患者さんには手術療法が適応になる場合があります。また当院では新しいお薬の治験や、新規治療法についての臨床研究も積極的に実施しています。
パーキンソン病の生体リズム障害に対する治療
昼と夜のリズムは脳が分泌するホルモンや時計遺伝子といわれるものが複雑に関係して形成されていますが、パーキンソン病ではこれが障害されているために、お薬によるドパミン補充だけでは十分な効果が得られていない可能性があります。一日のリズムは太陽の光や、食事、睡眠といった外的な要因も影響するので、これらの要因からパーキンソン病のコントロールを目指します。
高照度光療法
もともと睡眠相後退症候群や冬季うつ病などの疾患に対して行われてきた治療方法ですが、パーキンソン病患者さんの非運動症状(不眠、夜間頻尿、うつ症状など)に対して効果があることが分かってきました。一部の患者さんにはお薬の効果がよくなったり、内服薬を減量できたりするなど運動症状への効果もみられています。当院ではこれまで70人を超える患者さんが光療法の臨床研究に参加され、約8割が治療を継続しています。
睡眠治療
パーキンソン病患者さんには睡眠障害を多く合併します。夜間頻尿、むずむず足症候群などに加えて睡眠に関連した呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)もきたしやすいことがわかってきました。当院ではパーキンソン病患者さんの睡眠時の呼吸状態を終夜睡眠ポリグラフ検査で詳細に評価し、CPAPやマウスピースなどによる治療を行っています。睡眠の改善により運動機能の改善を期待できる可能性があります。
食事・栄養指導
一日のリズムは食生活が大きく影響します。また、糖質の多い食事が神経に影響することも報告されています。当院では、患者さんがどのようなライフスタイルを送っているかということがパーキンソン症状のコントロールに大きな影響を与えると考え、患者さんの食生活についてのアンケートを基にして、栄養指導という形で介入をしていきます。
神経内科外来
一般診察は月~金の毎日行っています。この他に特殊外来として、すくみ足外来(水曜日午前)、物忘れ外来(月曜日午前・午後、金曜日午後)、筋ジス外来(火曜日・木曜日午後)、睡眠外来(水曜を除く平日午前)を設けています。
再診は予約制をとっています。症状に変化があった場合には予約外でも対応しますが、予約患者さんを優先しますので、待ち時間が少し長くなる場合があります。但し、救急の場合は別に対応します。
初診は原則として紹介状のある場合もしくは他科の医師からの診療依頼の場合に限っています。初診の予約は、紹介の先生から地域ネットワークセンターを介して行って下さい。予約がなく紹介状を持参された場合、待ち時間が少し長くなることがありますのでご了承下さい。
特殊検査
神経生理学的検査(脳波・誘発筋電図・誘発脳波など)、終夜睡眠脳波、画像検査(X線CT、MRI、SPECT、サーモグラフィなど)、嚥下造影検査、神経筋生検などの病理学的検査を実施しており、診断精度の向上や臨床研究の推進に努めています。通常、外来受診時に予約をとりますが、多くの場合外来受診と別の日になります。入院が必須の検査も含まれます。
スタッフ紹介
特命副院長 松村 剛(臨床研究部長(兼務))
専門 | 筋ジストロフィー・神経筋難病 |
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博士・専門医 | 神経内科専門医・指導医・地方会評議員 日本リハビリテーション医学会認定臨床医、 臨床遺伝専門医、 リハビリテーション医学会専門医・指導医、 日本臨床神経生理学会認定医 |
リハビリテーション科部長 井上 貴美子
専門 | 神経筋疾患全般 神経難病リハビリテーション |
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博士・専門医 | 神経内科専門医・指導医 リハビリテーション医学会専門医・指導医 |
脳神経内科部長 豊岡 圭子
専門 | 神経筋疾患全般 末梢神経・筋疾患 |
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博士・専門医 | 神経内科専門医 |
小児神経内科部長 齊藤 利雄
専門 | 筋ジストロフィー・神経筋難病, 小児神経疾患 |
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博士・専門医 | 医学博士 日本神経学会認定神経内科専門医・指導医 日本小児神経学会認定医・評議員 臨床遺伝専門医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本リハビリテーション医学会認定臨床医 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医 Infection Control Doctor 産科医療保障制度診断協力医 日本医師会認定産業医 |
脳神経内科医長、睡眠センター長 猪山 昭徳
専門 | 神経内科全般、睡眠関連疾患 |
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博士・専門医 | 日本臨床神経生理学会認定医 |
医長 遠藤 卓行
専門 | 神経内科全般 |
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博士・専門医 | 神経内科専門医 日本臨床神経生理学会認定医 |
医師 森 千晃
専門 | 神経内科全般 |
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博士・専門医 | 神経内科専門医 |
医師 齋藤 朋子
専門 | 神経内科全般、認知症 |
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博士・専門医 | 神経内科専門医 |
医師 松井 未紗
専門 | 神経内科全般 |
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博士・専門医 | 神経内科専門医 |
医師 中津 大輔
専門 | 神経内科全般 |
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医師 須藤 素弘
専門 | 神経内科全般 |
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医師 米延 友希
専門 | 神経内科専門医、認定内科医 |
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医師 矢田 知大
専門 |
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医師 古島 朋美
専門 |
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医師 山下 里佳
専門医 | 日本内科学会認定内科医、神経内科専門医 |
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専攻医 川村 直子
専門 |
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病棟案内
神経内科病棟 96床
筋ジストロフィー専門病棟 106床
診療実績
平成30年度の診療実績
1.外来
新規患者 | 900人 |
再来患者 | 11540人 |
2.入院
疾患別症例数 | |
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パーキンソン病 | 370人 |
ALS | 120人 |
筋疾患 | 370人 |
その他 |
特殊外来案内
セカンドオピニオン
神経難病につき専門医が診察いたします。完全予約制です。詳しくはセカンドオピニオンの項目をご参照ください。