患者様へ
呼吸器腫瘍内科
診療の特色
当科は30余年にわたり、6千名を超える呼吸器腫瘍、特に肺がんの専門的治療を行ってきました。今までの肺がんに対する診断・治療成績が認められ肺がんなどの呼吸器悪性腫瘍に特化した病院(診療科)として、2010年に「大阪府がん診療拠点病院(肺がん)」に指定されました。
当科では、肺癌の診断から終末期に至るまでの一貫した診療を行っています。北摂広域よりご紹介いただく呼吸器悪性腫瘍患者は年間およそ300例です。2011年秋に完成した新病棟では、病床数・個室数をより増やし、今まで以上に様々なニーズに対応できる、より良好な療養環境を提供しております。急性期病棟2病棟 60床+10-15床で、検査入院や短期から長期までの入院治療・緩和治療など様々な入院治療・療養に対応しています。
診断
2012年に導入したシーメンス製128スライスCTで、高度な画像診断が可能です。CTで確認された肺腫瘤の診断や血痰などの精査のため、年間450例前後の気管支鏡検査(Broncho fiberscopy: BFS)を行っています。超音波気管支鏡(EBUS)を用いた気管支鏡検査も積極的に行っています。EBUSは気管支鏡と超音波が一体となった内視鏡であり、縦隔リンパ節が腫大している場合には超音波内視鏡下経気管支吸引リンパ節生検(EBUS-TBNA)を行い、また末梢の腫瘤に対してはガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)を行い診断します。末梢の腫瘤や胸壁に近い病変ではCTガイド下肺針生検も行っています。 胸水貯留などの症例では、局所麻酔下胸腔鏡を行うこともあります。
内科で診断が困難な小さな腫瘤に対しては、呼吸器外科に依頼して全身麻酔下での胸腔鏡検査を積極的に行い早期肺がんの診断に努めています。外科・放射線科・検査科病理部門と連携して、速やかに検査を行って診断を確定し、早期に治療を開始できるような体制をとっています。
癌告知
がん告知は、ご本人、ご家族の了解のもと積極的に行っています。身体的・精神的に負担の大きい肺がんの検査・治療を行うに当たっては、患者御本人様の十分な理解と協力が必要不可欠と考えるためです。御希望があれば心理療法士のカウンセリングも行います。
治療
組織型・臨床病期・年齢・全身状態・合併症等に応じて、がん治療(化学療法・放射線療法・緩和治療)を行います。ほとんどの方は入院で治療を開始しますが、病状等に応じて短期治療入院・外来化学療法・外来放射線治療に移行します。
がん化学療法は近年急速に変貌しており、肺がんの患者様の予後が大きく伸びてきています。分子標的薬など多くの抗がん剤が登場し、2015年末には初の免疫治療薬が肺がん治療に登場しました。さらに今年も複数の薬剤が臨床に用いられるようになります。作用機序の異なる多くの抗がん剤をどのように用いるかによって、予後が大きく左右される時代になってきました。最新の情報を入手できる専門施設の立場を生かして、患者様の治療につなげていきたいと考えています。また、患者様にご協力いただき臨床試験や新規薬剤の治験も行っています。
原発巣や転移巣に対する根治的あるいは対症的放射線治療は、放射線治療専門医の治療計画のもとリニアック装置で行っています。2014年4月に呼吸同期できる新型のリニアック装置を導入しました。また、他院で手術・化学療法を受けられた乳がんの患者様に対する術後の放射線治療や骨転移などへの緩和的放射線治療も行っています(乳がん術後の放射線治療はほぼ全例が通院治療です)。
緩和治療
治療当初から終末期に至るまで、麻酔科医・当科医師・看護師(緩和ケア認定看護師・がん性疼痛看護認定看護師)・薬剤師・心理療法士などからなる緩和ケアチームにより、痛みや呼吸困難、 不安感などの様々ながん随伴症状に対処するための緩和医療(不快な症状を減らしできるだけ楽な生活を行っていただく治療)を積極的に行っています。疼痛緩和のための積極的な薬物治療や症例により麻酔科医による神経ブロックも行います。少しでも穏やかに病気に立ち向かっていけるよう、必要に応じて患者様やご家族に対して心理療法士が個別面談やグループカウンセリングを行っています。
また、終末期の患者様が少しでも住み慣れたご自宅で過ごせるように、地域ネットワークセンターが窓口となって、地域の先生方や訪問看護ステーションのご協力を頂き、在宅療養への移行を行っています。また、在宅療養中の患者様でも、必要時には当院への再入院で対応いたします。
スタッフ紹介
統括診療部長 森 雅秀(責任者)
博士・専門医 | がん相談支援センター長 臨床研究部肺腫瘍学研究室長 医学博士 内科学会指導医・総合内科専門医 呼吸器学会指導医・専門医 呼吸器内視鏡学会指導医・認定医 がん治療認定医機構認定医 結核病学会結核・抗酸菌症指導医 Infection Control Doctor 日本医師会認定産業医 身体障害者福祉法指定医(呼吸器機能障害) 大阪大学医学部臨床教授 豊中市社会福祉審議会委員 |
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部長 内田 純二
博士・専門医 | 医学博士 内科学会指導医・総合内科専門医 呼吸器学会指導医・専門医 呼吸器内視鏡学会指導医・認定医 臨床腫瘍学会指導医・がん薬物療法専門医 がん治療認定医機構認定医 |
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医長 矢野 幸洋
博士・専門医 | 医学博士 内科学会指導医・総合内科専門医 呼吸器学会指導医・専門医 呼吸器内視鏡学会指導医・認定医 日本がん治療認定医機構認定医 身体障害者福祉法指定医(呼吸器機能障害) |
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医長 赤澤 結貴
博士・専門医 | 内科学会指導医・総合内科専門医 呼吸器学会専門医 臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 |
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医師 三橋 靖大
博士・専門医 |
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医師 西島 良介
博士・専門医 |
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医師 岩堀 幸太
博士・専門医 |
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病棟
A病棟6階 60床
診療を希望される患者様へ
呼吸器腫瘍内科(呼吸器内科)では、初めて(あるいは久しぶりに)当院の診察を受けられる患者さんを対象として、平日(月~金)午前に初診専用外来を開設しています。せき、たん、息切れ、胸痛、血痰などの自覚症状を有する方、あるいは胸部レントゲンで異常を指摘された方などが対象となります。
原則として、かかりつけの先生にご紹介を頂き、胸部レントゲンなどの資料をお持ちになって当院へお越しください。(過去の検査結果やレントゲン写真は診療の参考になります)
日によっては、初診の患者さんが多数集中することがあり、予想以上にお待ちいただくことがあります。できるだけ円滑に診療を行うよう努力をしておりますので、あらかじめご了承ください。
セカンドオピニオン
肺がんなどの呼吸器腫瘍に関するセカンドオピニオンも受け付けております。呼吸器腫瘍内科部長・医長が担当いたします。お申込みは、ホームページ右側のセカンドオピニオンの項をご覧ください。(肺がん以外の呼吸器疾患は呼吸器内科の医師が担当いたします)
ご紹介を頂く医療機関の先生方へ
当科では肺がんを中心とした呼吸器腫瘍について診療を行っています。紹介状・資料をご用意いただき、地域ネットワークセンターを通じて予約をお願いいたします。明らかに入院が必要と見込まれる患者様につきましては、病床管理上あらかじめ当科に直接電話で御連絡を頂けると助かります。
夜間休日に関しましては、原則として初診救急は受け付けておりません。初診あるいは数年来院のない患者さんにつきましては、救急病院の受診を御考慮下さい。当院に定期的に通院している患者さんにつきましては、あらかじめ当直医と御相談の上で、受診を御指示下さい。なお当直医が呼吸器内科医とは限らない点をご留意ください。
また、当院の内科は呼吸器内科と神経内科の単科です。循環器、消化器などの合併疾患については専門的対応が困難な状況にありますので、重篤な合併症のある方につきましては、担当医に予めご相談頂けると幸いです。
症例の選択、御不明の点などがありましたら、地域医療相談室へ御遠慮なくご連絡いただければ対応させていただきます。
診療実績(2017-2021年)
入院患者
- 2016年
新規診断 - 肺癌 291件、悪性胸膜中皮腫3件
- (肺癌内訳、腺癌/扁平上皮癌/小細胞癌/その他 177/48/30/36)
- 2017年
新規診断 - 肺癌 308件、悪性胸膜中皮腫5件
- (肺癌内訳、腺癌/扁平上皮癌/小細胞癌/その他 164/59/18/67)
- 2018年
新規診断 - 肺癌 291件、悪性胸膜中皮腫7件
- (肺癌内訳、腺癌/扁平上皮癌/小細胞癌/その他 174/47/35/35)
- 2019年
新規診断 - 肺癌 334件、悪性胸膜中皮腫4件
- (肺癌内訳、腺癌/扁平上皮癌/小細胞癌/その他 199/60/30/45)
- 2020年
新規診断 - 肺癌 275件、悪性胸膜中皮腫5件
- (肺癌内訳、腺癌/扁平上皮癌/小細胞癌/その他 143/62/23/47)
※当院での新たな腫瘍の登録件数(1腫瘍1登録)です。患者数ではありません。
※当院で治療せず診断のみ行った症例も含みます。
※他院でがん治療をすでに受けられた症例や、セカンドオピニオンは除きます。
詳しくは院内がん登録の項目をご参照下さい。
検査
気管支内視鏡検査 呼吸器内科、呼吸器外科と合わせて
- 2017年
- 530件
- 2018年
- 492件
- 2019年
-
総数
510件
ガイドシース併用超音波内視鏡検査(EBUS-GS法)
248件
超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA法)
39件 - 2020年
-
総数
355件
ガイドシース併用超音波内視鏡検査(EBUS-GS法)
161件
超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA法)
41件 - 2021年
-
総数
309件
ガイドシース併用超音波内視鏡検査(EBUS-GS法)
186件
超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA法)
29件
化学療法(のべ件数)
- 2017年
- (2017年4月-2018年3月)
- 外来化学療法 967件
- 入院化学療法 1302件
- 2018年
- (2018年4月-2019年3月)
- 外来化学療法 1013件
- 入院化学療法 1266件
- 2019年
- (2019年4月-2020年3月)
- 外来化学療法 1385件
- 入院化学療法 1670件
- 2020年
- (2020年4月-2021年3月)
- 外来化学療法 1580件
- 入院化学療法 1371件
- 2021年
- (2021年4月-2022年3月)
- 外来化学療法 1294件
- 入院化学療法 860件
業績
当科では、患者さんの診療に力を入れるのは当然のこととして、北摂最大の肺癌内科部門としての責任を果たすため臨床研究を積極的に行っています。次の世代の標準治療を新しく確立していくためには、臨床試験は不可欠です。 西日本がん研究機構WJOG
関西地区の肺がん専門施設・大阪大学関連病院など多施設共同の臨床研究グループに参加して、がん化学療法の臨床試験を積極的に行っています。抗がん剤・分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害剤・鎮痛用麻薬製剤などの新しい薬の治験も行っています。また、大阪大学、研究施設、企業とともに肺がんを中心とした共同研究を行っています。
また、当科で行った臨床研究や新しい知見については、積極的に学会や専門雑誌で発表を行っています。2012年2月には、当科の横田が会長として日本肺癌学会関西支部会を主催しました。
以下は当科の医師が発表した学会発表、学術論文の一覧です。
学会発表 | 学術論文 |
2017(平成29)年分 | 2017(平成29)年分 |
2018(平成30)年分 | 2018(平成30)年分 |
2019(令和元)年分 | 2019(令和元)年分 |
2020(令和2)年分 | 2020(令和2)年分 |
2021(令和3)年分 | 2021(令和3)年分 |
後期レジデント募集
現在、呼吸器腫瘍内科、呼吸器内科(各種肺疾患/感染症)では常勤医、後期レジデントを募集しています。私たちといっしょに働いてみたいという方は、是非、当院までご連絡下さい。
詳しくは採用情報の項目をご参照下さい。