独立行政法人国立病院機構 刀根山病院

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整形外科・リウマチ科 - 骨粗しょう症

骨粗しょう症とは世界保健機関(WHO)の定義では「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患」とされています。難しい言葉ですが、わかりやすくいえば骨が弱くなって骨折しやすい状態のことです。以前は老化の一部として避けられないと考えられていた円背(まがった背中)もじつは骨粗しょう症による脊椎の骨折が原因であり決して避けられない訳ではないのです。また高齢者の股関節の付け根(大腿骨近位部)の骨折も骨粗しょう症が原因ですが、大腿骨近位部骨折を受傷された場合1年以内の死亡率が12~37%と報告されておりまた2割程度の人は日常生活機能低下のために施設入居を余儀なくされています。

近年骨粗しょう症やその基礎的分野(骨代謝)の研究が進み色々なことがわかってきましたし、予防するよい薬もたくさん開発されました。また糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病、慢性呼吸器疾患や神経疾患などいろいろな病気は骨粗しょう症の原因となることも知られています。日本では骨粗しょう症患者数は1200万人以上と推測されており、70歳代女性の約4割、80歳以上の女性では半数以上の方が該当します。

骨の強さは骨密度7割、骨質(コラーゲンなどの材料の質)3割とされており、骨質を評価することは困難ですが、骨密度は簡単に測定することができます。基本は図1のような機械で腰椎および大腿骨近位部を計測することとなっています。女性は65歳以上、男性は70歳以上であれば測定が有効とされていますのでかかりつけの先生にご相談になることをお勧めします。


図1 骨密度測定装置
(GE Healthcare社PRODIGY)

またwww.shef.ac.uk/FRAX/?lang=jpにアクセスするとWHOが作成した骨折リスク評価ツールを用いて今後10年間におけるあなたの骨粗しょう症性骨折確率が計算できます。ご興味のあるかたはご活用ください。

当院では専門外来を設け骨密度や血液・尿検査を用いた骨代謝マーカーのデータに基づいて患者さま一人ひとりに最適な治療を提案いたします。治療(処方)はかかりつけ医の先生に行っていただくこともできます。また骨密度検査のみの受付を行っておりますのでかかりつけ医の先生にご相談ください。10分程度の検査ののちデータ(図2)をお持ち帰りいただけます。


図2 骨密度検査結果

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