独立行政法人国立病院機構 大阪刀根山医療センター

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筋疾患センター

当院は本邦における筋ジストロフィー医療の中核施設です。

当センターの特徴

  • 小児から成人までの全ての病型の筋ジストロフィーを含む、多くの筋疾患、脊髄性筋萎縮症など類縁疾患を診療しています
  • 難病に特化した病院で、専門性の高い多職種による集学的ケアの提供に加え、最新の保険適用治療(ロボットスーツ、遺伝子治療等)も積極的に実施しています
  • 外来、一般(短期)入院に加えて、短期療養入院(ショートステイ)、療養介護入院(長期入院)などで患者さんの生涯を一貫してサポートしています
  • 地域諸機関や患者会とも連携し、患者さんの抱える課題に多面的に対応しています
  • 研究班や国内外の臨床研究ネットワークを通じ、エビデンスの構築やガイドライン作成など医療の向上に貢献しています
  • 治験や臨床研究も盛んに実施し、国内で実施中のほとんどの治験を行っています
  • 京阪神、近畿一円から1400名以上の患者さんが受診されています

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診療の基本スタンス

  • 今できる最善の医療を実践(多職種・多機関・地域連携による集学的医療提供)
  • 医療レベル向上への努力(質の高いデータ・試料の保存活用と、臨床研究によるエビデンス構築)
  • 新規治療開発への貢献(ドラッグ・ロス予防)

本邦の筋ジストロフィー医療は1964年の進行性筋萎縮症児対策要綱に基づいて始まりました。全国27箇所に専門病棟約2200床が設置され、当院では1967年に病棟開設しています。病棟の設置と並行して、基礎から臨床までの研究班が構築され、全国の研究者、医療者が共に筋ジストロフィーの医学・医療の発展に務めた結果、世界でも類を見ない生命予後の改善を達成しました。難病法の成立と共に、研究班等の体制は変化していますが、当院は、現在厚労省の筋ジストロフィー研究班班長施設として、筋ジストロフィー医療の中核を担っています。

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最善の医療の実践

i. 集学的医療の重要性

筋ジストロフィー患者さんの抱える医療課題は、筋力低下や運動機能障害に留まらず、呼吸や心臓、嚥下、消化管、代謝障害など様々です。教育や社会参加にも疾患の特性を踏まえた専門的支援が必要です。当院は、難病に特化した施設で、医師だけでなく、看護師、療法士(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカー、心理士等多職種が、難病に精通して患者さんのニーズに即した支援を行っています。筋ジストロフィー患者さんでは人工呼吸器をつけても、20年以上在宅で生活し、旅行やパラスポーツを楽しむ方もおられます。このような質の高い生活を維持するには、地域諸機関と連携して、定期的な全身評価と健康管理、呼吸器の調整、呼吸理学療法や、栄養管理、感染予防と急性増悪時の迅速な対応を行うことが不可欠で、これは専門性の高い多職種によって支えられているものです。

筋疾患センターにおける診療イメージ

ii. 当院で提供している医療

当院での筋ジストロフィー医療の基本は、今できる治療の実践、機能障害の代償と二次的障害の予防、合併症の早期発見と対処、社会参加の支援、になります。
筋ジストロフィーではまだ根本的な治療法はありませんが、保険適用となった薬剤として、デュシェンヌ型に対するステロイド治療とエクソン・スキップ療法(一部患者のみ)があり、患者さんご家族と相談の上実施しています。
機能障害については、療法士による機能評価と、ホームプログラム指導、適切な運動の指示、環境整備のアドバイス、装具等の導入を中心に行っているほか、新しい治療として、ロボットスーツを用いたリハビリテーションも実施しています。リハビリテーションは拘縮・変形予防、怪我の予防、活動範囲・意思疎通の維持・拡大、きれいな肺の維持など、診断時点から生涯にわたって常に患者さんに不可欠なものです。当院では、患者さん・ご家族への指導、地域との連携により、質の高いリハビリテーションの提供に努めています。
合併症については、定期的な検査(外来・入院)で異常を早期に発見し、問題が深刻化する前に介入するよう努めています。人工呼吸管理や経管栄養等では、早期に異常を発見することで、考える時間を確保して納得した治療を選択いただくよう努めています。肺炎や尿路感染、イレウスなどは生命にかかわることも多く、このような急性合併症では積極的な入院加療を行っています。
社会参加支援では、教育機関や企業、就労支援機関、福祉機関などとの情報交換・連携、福祉職や心理士、ソーシャルワーカー等による相談・支援を行っています。難病患者さんの生活や医療を支える上で、ピアである患者団体との連携は重要で、当患者会との連携も積極的に行っています。
長期間の在宅療養では介護者の健康管理も重要な課題ですが、医療ケアの必要な患者さんの場合、地域でのショートステイ利用が困難になります。当院では短期療養介護事業によるレスパイト対応も行っています。また、障碍を持つ患者さんや人工呼吸器を使用している患者さんでは、災害・長時間停電における対応も大きな課題です。当院では受診患者の発災前避難を受け入れており、発災後も可能な範囲で対応に努めています。

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医療レベル向上に向けた努力

i. 質の高いデータ・試料の集積

希少疾病では患者さんが少ないため、データの集積が困難です。さらに、日本では受診機関が分散し専門機関を受診される患者さんの割合が低いことが、エビデンスの構築や臨床研究・治験を進める上で大きな制約となっています。
当院は、日本でも有数の患者さんが受診されていることから、日々の診療データの蓄積は貴重なリアル・ワールド・データとなっています。また、当院はブレイン・バンク事業に参加しているほか、国立精神・神経医療研究センターの筋レポジトリーにも協力し、患者さんから得られた筋肉や組織の保存、共同活用による疾患研究の促進にも努めています。

ii. 臨床研究の推進

医療の向上には、臨床研究によってエビデンスを構築する努力が不可欠です。筋ジストロフィーでは、以前から研究班体制が構築され、基礎と臨床との連携や専門機関同士の連携、患者・市民参画(PPI)が古くから行われて来ました。このような基盤を下に、当院では関連学会や関連研究班・機関と協力して、臨床研究を積極的に行い、その成果を国内外の学会や論文で報告しています。(当院全体の業績:英文論文一覧は当院HP臨床研究部からご覧いただけます)

診療ガイドラインの作成などにも中心的役割を果たしています。(当院がかかわった主なガイドライン等)

当院が関わった主なガイドライン

このような成果を皆さんと共有すべく、研究班や患者会とも連携し、一般の方を対象とした市民公開講座やセミナーも実施しています。研究班や難病情報センターのHPを通じた情報提供も行っています
研究班HP:https://mdcst.jp/
難病情報センターHP:https://www.nanbyou.or.jp/

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医療レベル向上に向けた努力

希少疾病では、近年治療薬の開発が進んでいます。一方で、日本で治験が行われず、海外で承認された治療薬が日本で使用できない「ドラッグ・ロス」が深刻な懸念となっています。
希少疾病では円滑な治験推進には様々な課題があり、解決策の代表的なものとして、患者登録、自然歴研究、鋭敏な評価指標開発などがあります。当院は、こうした取り組みにも積極的に関与しており、患者登録(Registry of Muscular Dystrophy: Remudy https://remudy.ncnp.jp/)の設立には当初からかかわっており、顔面肩甲上腕型の登録では責任者を務めています。また、自然歴研究や評価指標開発、患者さんによる主観的評価指標の妥当性評価などでも中心的活動をしている他、国際自然歴研究にも参加しています。治験も積極的に行っており、日本で行われている筋ジストロフィー治験のほとんどを実施しています。
日本で治験が困難な要因には、患者さんが専門施設に集約されていないことがあります。さらに、希少疾病薬では、一般薬に比べてエビデンスが不十分な段階で保険適用が承認されることが多く(条件付き早期承認制度)、治療薬の出現が治療開発のゴールではありません。このため、実臨床においても精度の高いデータ収集を行い、有効性と餡税制の早期確立を図る必要があります。ドラッグ・ロスを防ぐには、専門機関への集約が重要です。
治療開発は研究者、臨床医、開発企業、当局、患者など全ての関係者が協力して進める必要があります。当院では、治験や臨床研究など様々なお願いをすることがありますが、ご理解・ご協力の程よろしくお願いします。

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当院の利用を考える方へ

i. 受診方法について

受診を希望される方は、かかりつけ医の先生から当院の地域ネットワークセンターを通じて受診予約ください。受診の際には、かかりつけ医の先生による診療情報提供書(紹介状)が必要です。治療選択や、指定難病・身体障害申請等においては、診断の根拠となる情報が重要です。このため、筋生検などの病理学的診断、遺伝学的検索(遺伝子診断)を受けておられる方は、その結果報告書も合わせて情報提供いただけるとありがたいです。
当院では、筋疾患の外来としては以下の2つで対応しています。
一般外来(脳神経内科外来)
小児神経内科外来:隔週木曜日午前
筋ジストロフィー専門外来:火曜日・木曜日午後
疾患や受診目的によって考慮しますので、地域ネットワークセンターからの指示に従って受診ください。

ii. 地域の医療機関の皆様へ

受診予約・お問い合わせは地域ネットワークセンター(TEL:06-6853-2001(代))へお願いいたします。
>地域ネットワークセンターの詳細はこちら

iii. 遺伝カウンセリングについて

遺伝性筋疾患に関する遺伝カウンセリングについては、臨床遺伝専門医が対応しています。遺伝カウンセリングを希望される方は、地域ネットワークセンターや担当医にお知らせ下さい。
内容によっては、他施設の遺伝子診療部と連携して対応することもあります。

iv. レスパイト、長期入院を希望される場合

当院では、介護者負担を軽減し在宅療養の継続を支援する目的で、短期療養介護事業(レスパイト入院)を行っています。また、身体的状況や介護破綻等で在宅療養が維持できなくなった患者さんには療養介護事業(契約入院)も提供しています。これらの利用には一定の条件や手続きが必要なので、希望される方は地域ネットワークセンターや担当医にお知らせ下さい。内容や手続きについては療育指導室から説明させていただきます。
これ以外の場合でも、介護者の急な体調不良・手術等で介護が一時的に出来ず、医療ケアのために地域でのショートステイ対応ができない場合などは、可能な限り対応していますので、地域ネットワークセンターや担当医にご相談下さい。

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